離婚とその慰謝料とは?

離婚とその慰謝料とは?

離婚とは

離婚とは、婚姻関係にある男女が、夫婦としての生活を清算し、婚姻関係を解消することをいいます。

結婚は、民法上では「期限の定めがない契約」と考えることができます。そのため、夫婦の一方がその関係を解消しようとする場合には、民法763条から771条に定められた手続きや考え方に基づいて進めることになります。

離婚には、主に次の種類があります。

  1. 協議離婚
  2. 調停離婚
  3. 審判離婚
  4. 裁判離婚

このうち、90パーセント以上が「協議離婚」とされています。

協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚を決める方法です。実際には、双方の親族が話し合いに加わることも少なくありません。

協議で離婚がまとまらない場合には、調停離婚、審判離婚、裁判離婚といった方法が検討されます。

離婚は「調停前置主義」が基本とされています。
そのため、夫婦間で協議がまとまらない場合、いきなり裁判を起こすのではなく、まず家庭裁判所での調停を行うことになります。

夫婦の一方が強く離婚を望み、もう一方がこれを拒否した場合には、居住地を管轄する家庭裁判所に、離婚調停や夫婦関係調整調停などを申し立てることになります。

このような場合、すでに別居している夫婦も多いですが、結婚生活を継続しながら調停を申し立てることも可能です。

家庭裁判所は、申立てを受け付けると双方に文書で通知し、調停委員が間に入って、それぞれの言い分を聞きながら話し合いを進めます。

調停は数回行われることが多く、一般的には3回から5回ほど行われるケースもあります。

調停で合意に至らない場合は「不調」となり、その後、夫婦は冷却期間を置くか、改めて裁判へ進むことになります。


別居と悪意の遺棄

夫婦の一方が、一方的に別居を強行することがあります。

しかし、夫婦には民法上、同居の義務があります。
そのため、正当な理由なく自分の都合だけで家を出た場合、「悪意の遺棄」と判断される可能性があります。

悪意の遺棄とは、夫婦としての生活を維持する義務を、正当な理由なく放棄することをいいます。

たとえば、生活費を渡さずに家を出る、相手や子どもを置き去りにして別居する、家庭生活を一方的に放棄するような場合には、裁判で不利に扱われる可能性があります。

民法770条では、裁判上の離婚原因として、次のように定められています。


民法第770条 裁判上の離婚

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができます。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

このように、不貞行為だけでなく、悪意の遺棄も裁判上の離婚原因となります。


離婚に伴う慰謝料とは

では、離婚に伴う慰謝料とはどのようなものでしょうか。

結婚を一つの契約と考えるなら、その契約を一方的に破棄する原因を作った側には、一定の責任が生じる場合があります。

その責任の一つが、慰謝料です。

慰謝料とは、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われる損害賠償のことです。

離婚の際に問題となるお金には、慰謝料のほかに財産分与があります。

たとえば、有名人の離婚で「数億円を支払った」といった報道が出ることがありますが、そのすべてが慰謝料とは限りません。多くの場合、財産分与が含まれています。

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分けるものです。
一方、慰謝料は、不倫や暴力、悪意の遺棄など、相手に精神的苦痛を与える原因を作った場合に問題となるものです。


不貞行為と慰謝料

民法770条1項1号に定められている「配偶者に不貞な行為があったとき」に該当する場合、不貞行為を行った配偶者に対して慰謝料を請求できる場合があります。

不貞行為とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。

不倫や浮気によって精神的苦痛を受けた側は、不貞行為を行った配偶者に対して慰謝料請求を検討することができます。

また、不倫相手も共同不法行為者として、慰謝料請求の対象となる場合があります。

慰謝料の金額は、婚姻期間、夫婦関係の状況、不貞行為の期間や回数、不倫相手との関係、子どもの有無、離婚に至ったかどうか、収入や生活状況などによって変わります。

一般的には、不貞行為に関する慰謝料は50万円から300万円程度とされることが多いですが、実際の金額は個別の事情によって異なります。


離婚事例のアラカルト

近年、日本では夫婦の離婚が増えていると言われています。

婚姻件数に対して離婚件数が多くなっていることもあり、以前に比べて離婚は身近なものになりました。

明治・大正時代には、人口1000人に対して離婚件数はごく少数だったとされていますが、現在では離婚件数も大きく増えています。

探偵の目から見ても、最近は若い夫婦が比較的あっさり離婚を決断するケースが増えているように感じます。

ただし、ただ別れるだけではなく、慰謝料、財産分与、養育費、親権などについて、しっかり条件を整えたうえで離婚を進める傾向も強くなっています。


あっさり終わる離婚もある

ある先輩探偵に、数回離婚した経験がある方がいます。

その方は、慰謝料を支払った覚えはほとんどないと言っていました。

なぜなら、相手から一方的に離婚を告げられ、出て行かれてしまったからです。

あるとき、仕事から帰ってみると、部屋はもぬけの殻。
家財道具もほとんどなくなっていたそうです。

地方出身の男性の一人暮らしであれば、もともと家財道具は多くないこともあります。
そのため、結婚も離婚も、あっという間に終わってしまったような感覚だったと話していました。

このように、あまり大きな争いにならず、短期間で終わる離婚もあります。


長期化する離婚もある

一方で、揉めに揉めて、なかなか離婚できない夫婦もいます。

先輩探偵の知人夫婦には、同居しながら15年以上いがみ合っている夫婦がいるそうです。

原因は、傍から見れば些細なことに思える出来事でした。

ある日、妻が勤務先の上司と食事をしました。
その上司の親族のことで便宜を図ったお礼として誘われた食事だったそうです。

ところが、その事実を夫が知り、それ以来、

「お前はあの上司と浮気したのではないか」

と責め続けるようになりました。

やがて夫から離婚請求がなされ、裁判に発展しました。
お互いの収入証明、子どもの親権、養育費などの問題も絡み、なかなか決着がつかない状態が続いたそうです。

夫は自室に鍵をかけ、家族とは一切口を利かず、誰かがいる限り部屋から出ない。
トイレも人の気配がない隙を見て済ませる。

このような生活が長年続いているとのことです。

周囲から見れば、「もう別れた方がよいのではないか」と思える状況でも、当人同士にとっては簡単に決断できない事情があるのでしょう。

離婚には、感情、生活、子ども、お金、世間体、意地など、さまざまな要素が絡み合います。


離婚を考える前に大切なこと

離婚は、単に夫婦関係を終わらせる手続きではありません。

慰謝料、財産分与、親権、養育費、住居、生活費、年金分割、今後の生活設計など、多くの問題が関係します。

特に、不倫や浮気が原因で離婚を考える場合には、感情的に行動する前に、証拠を確保しておくことが大切です。

証拠がなければ、不貞行為を否定された場合に、慰謝料請求や離婚協議を有利に進めることが難しくなる場合があります。

また、相手の収入、勤務先、生活状況、不倫相手の身元なども、今後の手続きを考えるうえで重要になることがあります。

離婚を決断するかどうかは、人生に大きく関わる問題です。
まずは事実を確認し、冷静に今後の対応を考えることが大切です。

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